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REPORT
independence-D2007 STREET ROCKDAY
 ■PROFILE

<荒金良介>
洋邦問わず、パンク、ロック系の音楽を中心に仕事をしているフリーランスの音楽ライター。

 

この日は開演 12 時からトリの STRUNG OUT が終わる 21 時半まで、
全 27 バンドのステージをすべて観た。

出演バンドのタイムテーブルは微妙にズレていたり、
各ステージの移動距離も非常に短い。
その利点を活用して完全走破を自分に課した。
もちろん 5 分程度しか観れなかったバンドもいるので、
全バンドに言及しているわけではない。


開始早々、ホーン隊擁する ALPHABOY SCHOOL のスカ調リズムを用いた渋味の効いた音でジワジワ温められると、


ハードコア特攻隊長の ELECTRIC SUMMER でいきなり叩き起こされた。


爽快メロディックで突っ走る RUNNERS-Hi のキラメキ感は眩しかったし、


男性ベース+女性ドラムの和製 WHITE STRIPES のような moja のスリリングなバトルも刺激的だった。


ザ・ジェッジジョンソンは、いい意味で浮いた存在感を放つ。
電子音に加え、規則的に強烈ビートを叩き込む生ドラム、
ロックの官能性とダンサブルな躍動感が溶け合う高揚感に体は否応なく反応してしまった。


見た目も音も若い現役高校生バンド、勢い命で突き進む MELODY FALL は、
バンド名通りのメロディック波状攻撃でクラウド・サーファーを続出させる。


歌謡曲、プログレ、エモを一手に引き受けたような 9mm Parabellum Bullet は、
メロウな歌心に溢れたかと思えば、カオスの急傾斜を一気に駆け上がって爆発する。
その殺気立った危険な香りに意識を吸い込まれた。


紅一点・女性ヴォーカル擁する L.A.SQUASH は、以前と比べて格段に成長していた。 特に清冽なメロディを優しく歌い上げながら、
決して上品にまとまらないロック魂漲る fuyuko の歌声は絶品だった。


タテノリの激重モダン・サウンドで押しまくる Pay money To my Pain。


新作『 KISS THE WORLD 』が絶好調の GOOD 4 NOTHING は昨年海外バンドのサポートを数多くこなしたせいか、肝が据わった豪快パンクを鳴らす。


フロント 3 人がえらくでかかった SOLEA は、ダンディーな味わい深い歌声とじっくり聴かせる王道感を貫き、堂々とした佇まいで土臭いロックっぷりを披露。


元ヌンチャクの肩書きを持つ向( Vo )率いる kamomekamome は、
ますます尖がった異形のカオスを振り撒いていた。
それに新曲を 3 曲もプレイし、より直線的でヘヴィさに拍車がかかった勢いはジェットコースター並の緩急で攻めまくる。

野性に満ちた音のギラつき具合は半端じゃない。

ベテラン・エモバンドの LOVEDRUG は、
甘いセクシーな声色を持つヴォーカルを看板に、
聴けば聴くほど引き込まれていくメランコリックな大人のロックを展開する。


1月にハードロック・カヴァー集を出したばかりの TOTAL FAT は、
その中から MOTLEY CRUE のイケイケ・ナンバー「 Kickstart My Heart 」をプレイし、天井知らずの暴走ぶりでガッチリと観客の心を掴む。


もうすぐ出るであろう新作からの楽曲も完成度が高かった。
髭を蓄えた渋いルックスそのままにゆっくりと吐き出す滋味溢れる歌声が印象的だった THE APPLESEED CAST は、
SOLEA と同じく貫禄の満ちたエモ風情をアピールする。


メロディ豊かな歌を軸にした LOCAL SOUND STYLE は、前半静かに波打つエモーショナル・サウンドを奏でていたが、
クライマックスになるに従い不協和音の渦を作り出し、
メンバー自らその渦中へダイブするような破天荒な演奏で大暴れ。
終いにはギターを叩きつけてその場を去った。


日本勢の中でダントツの盛り上がりを見せたのは dustbox だ。
ファストなメロディック・ナンバーを矢継ぎ早に放ち、「 Try My Luck 」や最終曲「 Next Story 」など求心力の高い楽曲のオンパレードに観客はどんどん飲み込まれていく。
予想はしていたが、それにしても壮観な盛り上がりだった。


Fat Wreck Chords 出身の FRENZAL RHOMB も負けていない。
背の高い細身のヴォーカリストは、 SATANIC SURFERS の Rodrige ( Vo )を彷彿とさせる金髪ドレッドヘアの怪しい面構えで、時折咆哮を交えたメロディアスな歌声がいい。 そして、バックの演奏がこれまた凄まじかった。
直進性と突破力に長けた音は、重戦車パンクと名付けたくなるド迫力。
とにかくぶっ飛ばされた。


さあ、最後はお待ちかねの STRUNG OUT の登場だ。
メンバー全員、ハサミの白抜き柄の黒 T シャツに身を包んだビジュアルがやけにキマッている。

刺青の入った筋肉隆々の二の腕でマイクを握り締めるヴォーカルは、
絞り上げるようなシャウトとシンガロングできる歌心を使い分け、
硬質なリフを武器にエッジの立った演奏隊が激しく援護射撃する。
メロの粒だちが最高なのに、どこまでも荒々しくてパワフル。

メロコアじゃなく、メロディック・ハードコアときっちり太字で書きたくなる男気溢れる楽曲に心底打ちのめされた。

 ■総論

今年で 3 回目を迎えた「 independence-D 」は、
これまで 4 ステージで行われていたが、
「 DIA STAGE 」をなくなり、3ステージ制にシェイプアップした。

よって、出演アーティストも過去 2 回と比べて、
必然的に絞られる形になった。

ラインナップ的にもビーグ・ネームと言えるのは「 STREET ROCK DAY 」(2/3 )に限って言えば STRUNG OUT ぐらいである。

いきなりマイナス要因ばかりを挙げているような気もするが、
イベント自体のクオリティを大きく左右するものではなかったと言っておきたい。

そもそもインディペンデント・レーベルに身を置く国内外のアーティストを
“ より多くの人に知ってもらう ”
ために企画されたイベントである。

出演バンドが多いにこしたことはないが、
必ずしも多ければいいというものでもない。

また、知名度のあるバンドが多く出ても、
このイベントの主旨から離れていくような気もする。

難しいところだ。とにかく、パンク、エモ、ハードコア、オルタナティヴ・ロックなど
あらゆるタイプのバンドが出揃い、音楽の本質を自分の目で確かめ、
見極められる場所としての「 independence-D 」の役割は大きい。

大規模なフェスを除いて、出会い、発見、興奮の刺激性を世界レベルで体感できるイベントは本当に貴重なのだ。

今年の「 STREET ROCK DAY 」は日本のインディーズ勢の健闘が光っていた。 ELECTRIC SUMMER 、ザ・ジェッジジョンソン、 9mm Parabellum Bullet 、 L.A.SQUASH 、 GOOD 4 NOTHING 、 kamomekamome 、 TOTALFAT 、 dustbox は多くの観客を惹き付けるエネルギーに溢れていた。

海外ではイキのいいメロディック・サウンドでグイグイ引っ張っていった MELODY FALL 、
ベテラン・パンク組としては FRENZAL RHOMB 、
STRUNG OUT はさすがと言える豪快なステージングを披露してくれた。

あの大木をなぎ倒していくような凄まじい演奏力を目の当たりにすると、
世界の壁はまだまだ厚いなと実感させられてしまう部分もある。

来年もぜひ開催してほしいと思うが、もっと我々の度肝を抜くような未知の可能性を秘めたインディーズ・バンドと出会いたい。