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REPORT
independence-D2007 STREET ROCKDAY
 ■PROFILE
<ハセガワユキノブ>
日本でインディーズの動きが活発になり始めた80年代半ばぐらいから仕事をスタートさせる。
以降、邦楽シーンを中心に取材や執筆、時として電波媒体などでも活動。
ジャンルにはこだわらないが、バンド形態であることにこだわりを持つ。
今回はなるべく多くのバンドを観ることが目的。
ちなみにindependence-Dを主催する社団法人 音楽制作者連盟の理事が、インディーズでバンド活動していた時代も知っている。だよね、ギース(小杉理事)。

今回の independence-D は、野外に1つ、屋内に2つという、
合計3ステージ体制で行なわれた。

そのため会場に着いてすぐに目に飛び込んでくるのは、
CLOVER STAGE という野外ステージだ。

イヴェントの開演と同時に、その CLOVER STAGE に立ったのは 0 Limited Execution 。ヘヴィネスなサウンドを基盤として、
女性ヴォーカルが悲しみを帯びた声で歌い上げていくスタイルは、
エヴァネッセンスあたりに通じる。

目を閉じてファルセットを歌う姿も印象的。

幻想的な広がりを持つバラードでは、
女性ヴォーカルがエレクトリック・ヴァイオリンをプレイするなど、
サウンド的にも見たも新たなアプローチを垣間見せた。

ここから夕方までは、あちこち行ったり来たりの臨戦態勢がスタート。
屋内へ入ると、 HEART STAGE では ROBIN のライヴが始まるところだった。

クモの巣フィニッシュのギターから激しいリフがかき鳴らされ、
ファイヤー・パターンを施したウッド・ベースからはアタッキーな音が弾け飛ぶ。

暴力的とも言えるロックン・ロールで、ファンを熱狂させていった。

転換のわずかな時間に再び CLOVER STAGE へ行ってみると、
BREAK YOUR FIST のライヴ真っ最中だった。

デス・ヴォイスも圧倒的なメタルなのだが、
時に笑顔もこぼしながらステージそのものをメンバーは楽しんでいる。

聞けば、詞にはポジティヴなメッセージも込めているという。

急いで屋内に戻ると、 SPADE STAGE では Guineryus のライヴが始まっていた。

ジーンズに T シャツのラフな格好だが、バンド・サウンドとプレイはタイトで正確。
Syu は扇情的なメロディや速弾きをこれでもかと決めまくり、その実力を発揮。

続いて HEART STAGE の ROACH へとステージは引き継がれる。

彼らは沖縄のバンドで、去年から全国的な活動も始めたばかり。
絞り出すようなデス・ヴォーカルを放ったかと思えば、
コブシを回しながら独特のメロウさも響かせる。

そんなスタイルからは、ラウド系も多い沖縄のシーンや
風土に育まれたバンドであることも感じた。

今度は SPADE STAGE で 12012 のライヴがスタート。

ラウド系の攻めと切ないメロディを交互に繰り返すアプローチや
激しいパフォーマンスは、 Dir en grey の影響を感じさせた。


まだステージの途中だが、 HEAD PHONES PRESIDENT のライヴのため外へ移動。

太くうねるヘヴィネスを音の核にしているバンドだが、
何といっても印象的なのは女性ヴォーカル、ANZA 。

呪文のような言葉を、時にすすり泣きながら、
時にヒステリックに叫びながら口にする。

声を震わせ、目が飛んだ姿は、気が触れてしまったようにも映る。
こっちは呪縛されるばかり。
表現への欲求に飢えた彼女の凄みを感じた。

そして女性ヴォーカルと言えば、JURASSIC JADE を見逃すわけにはいかない。 HIZUMI はヴィジュアル系ファンに向かって
「お姉さんは元祖ヴィジュアル」と優しく説きながらも、
曲に入れば、姉御と呼びたくなるほどの存在感。

音も、スラッシュ然とした初期とは違い、
今はアヴァンギャルドな要素も飲み込み、さらに刺激的なスタイルに進化していた。

煽りながらノリの良さで疾走するギルガメッシュ、

ふんどしダンサーも登場させてサイコビリー祭りを展開したBATTLE OF NINJAMANZ 、

血だらけのゾンビ姿でロカビリーするのがユニークなCRACKS 、

トライバルなうねりとタイトなメタリックさの融合のSURVIVE 、

二胡やキーボードも導入したシンフォニック・ブラック・メタルを轟かせた ChthoniC など

を次々と周り、夕方から屋内へ腰を落ち着けることに。

SPADE STAGE で始まったのは BALZAC 。

ホラー・イメージのバンドだが、一体感あるコーラスやポップさも持つ。
それを勢い良く飛ばしていくことで、今回も高揚感ある独特のライヴへと昇華させた。

畳み掛けるハードコアの FC FIVE の後には、


ゲストの1つ、 Plastic Tree が登場。
ヴォーカルの竜太朗は赤い着物を着崩して、
前かがみや回りながら歌う。その姿は、いかれた花魁だ。

曲はヘヴィものからメロウな歌ものまで幅広く、
厚みある音からは結成 10 年の説得力も感じさせた。


激しいライヴ・パフォーマンスで驚かせた I KILLED THE FROM QUEEN 、

重厚かつ挑発的なラウドさの BLEEDING TROUGH 、

ヴォーカリストが客席に何度も飛び込み爆走のロックン・ロールを貫いた
STUPID BABIES GO MAD と続き、


ラストは MERRY 。

ヴォーカルのガラは、煽り文句を習字して客席に見せたり、
照明トラスに自ら足を引っかけて逆さ吊りで歌ったりと、
相変わらず奇想天外なパフォームを発揮。
レトロ感と悲しみの漂う曲を会場に響き渡らせ、
ファンの気持ちを掴んでいった。

結果、アンコールも起こるほどの盛り上がりを見せた。

 

 ■総論

レーベルやバンドが自分たちのプロモーション・ツールとして、
またバンド同士やファン同士がコミュニケーションの場として使ってもらえたら。
そんな願いを持って始まった independence-D 。

今回で3回目を迎え、出演したバンドの中にはほぼ常連となったアーティストもいたり、
長い歴史を誇るバンドがようやく登場したり、
あるいはこの2~3年で急激に人気を高めてきた若手バンドも参加。

これはイヴェントとしてレーベルやバンドにだいぶ
認知されてきた証と言えるかもしれない。

また同時に、音楽ファンにもおもろそうなイヴェントということで知られ始めたのか、
動員の面でも悪くなかったように思う。
通常、ライヴやイヴェントというと集まるファンは一色に染まりがちだが、
いろんな価値観や主義を持った音楽ファンが集まっている光景は、
その場にいるだけで単純に楽しかった。


当然、2月3日の STREET ROCK DAY にも行ったが、
この総括でのテーマは2月4日の METAL/SHOCKROCK DAY のほう。
なるべくたくさんのバンドを観ようとして、急ぎ足で3つのステージを廻った。

各バンドの持ち時間が 20 ~ 40 分で、恐らくいいところを凝縮させたライヴをそれぞれやっていたはずだから、そのうま味をちょっとずつ味わう形になった。
スイカの先端部分しか食べないという、
まるで長嶋巨人名誉監督のようなスタイルかもしれない。

特に印象に残ったのは、女性ミュージシャンの活躍。
メンバー全員が女性によるレディース・バンドとか、
ポップな曲のバンドでヴォーカルだけが女性というのは昔からあったが、
今回の出演バンドにおいてはそれが当てはまらない。

0 Limited Execution の mamiko
HEAD PHONES PRESIDENT の ANZA
そして JURASSIC JADE のHIZUMI
といった女性ヴォーカリストは、
アプローチ・スタイルは三者三様ながら、
怒りや悲しみに肉薄する部分で共通していたと思う。

彼女らの大胆さと繊細さを持ち合わせたところがまた、
バンドそのものに深みをもたらしていた。

他にも ChthoniC のドリス( B )
BLEEDING THROUGH のマルタ( Kb )など、
極悪サウンドのバンドの中で頑張る女性もいた。

あとは、ヴィジュアル系になると客層がガラリと入れ替わってしまうのは思ったとおり。
しかしラウド・テイストを持つその手のバンドが今回は多くて、
ヴィジュアル系の最近の流れも感じることになった。