一般社団法人日本音楽制作者連盟

2019.1.23
TPP11の発効に伴う改正著作権法の概要

2018年12月30日に米国を除く環太平洋連携協定(TPP)の新協定「TPP11」の発効に伴い、同日より改正著作権法が施行された。改正の概要は下記のとおり。

①著作物、実演等の保護期間の延長
著作物(著作者の死後50年から70年)、実演(実演後50年から70年)、レコード(発行後50年から70年)に延長した。

②配信音源の二次使用に対する報酬請求権の付与
放送事業者等が商業用レコードを用いて放送又は有線放送を行う際に、実演家及びレコード製作者に認められている使用料請求権について、配信音源についても対象が拡大した。

③著作権等侵害罪の一部非親告罪化
現在、親告罪とされている著作権等侵害罪について、以下のすべての要件を満たす場合に限り、非親告罪の対象となった。

Ⅰ.対価を得る目的又は権利者の利益を害する目的があること
Ⅱ.有償で提供されている著作物等について原作のまま譲渡・公衆送信又は複製を行うものであること
Ⅲ.有償著作物等の提供・提示により得ることが見込まれる権利者の利益が、不当に害されること

④アクセスコントロールの回避等に関する措置
B-CASカードなど、著作物等の利用を管理することができる「アクセスコントロール」を権限なく回避する行為を侵害行為とみなし、回避を行う装置の販売等について刑事罰対象とすることとなった。

⑤損害賠償に関する規定の見直し
侵害された著作権等が著作権等管理事業者により管理されている場合、当該権利者は、当該管理事業者の使用料規程により算出した額を損害賠償請求できることとなった。

※詳細については文化庁ホームページで紹介されています。
環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の概要(PDFファイル)
環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備

また、同月には国会および欧州議会において日EU経済連携協定(EPA)の批准を承認する決議がそれぞれ行われ、この協定の中でも日本におけるレコード保護期間はEUと足並みを揃えることとなった。

今回の著作権法改正により諸外国同等の高い保護水準に達することになったわけだが、世界各国で導入されている「レコード演奏・伝達権」(クラブ、レストラン、店舗でのCDの再生、あるいは、音楽ラジオ放送やウェブキャストを受信して、来店者に音楽を聞かせる行為に係る権利)については、依然として実演家やレコード製作者に認められておらず、未だ不均衡が存在する。

現在音制連では、この問題解決を目指した専門部会を設置し、様々な検討を行っており、今後関係諸団体と一丸となって積極的なロビーイング展開を行っていきたいと考えている。



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